HIV感染症

医療・機器 By kirikri

性感染症で有名なものの一つにエイズ(AIDS)が挙げられますね。

エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することによって引き起こされ、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす疾患と説明されています。

人体には通常自分の体内に侵入してきた「自分とは違う異物」を排除する防衛機能がありますが、これを免疫と言います。この機能が低下し感染症などの疾患に抵抗できなくなった状態を免疫不全と言います。

つまり、エイズは免疫力が低下して正常な免疫力があれば、問題となることのない感染症(日和見感染)を発症したり、悪性疾患(悪性腫瘍)を引き起こしたりする状態のことを言います。

エイズとなった状態を改善する治療方法はなく、HIVに感染した段階で薬剤を投与し、エイズを発症させずコントロールすることが治療となります。

HIV感染

エイズはHIVに感染することによって発症しますが、その感染原因は、性交渉による感染、注射器を使いまわすことなどによる血液を介する感染、母体を介する母子感染、非加熱製剤を介した感染があります。

入浴やプールなど水を介しての感染はなく、日常生活を営む上で感染することはほとんどありません。

感染後症状

HIV感染後症状は主に3つに分類されます。

感染後初期症状

HIVが体内に侵入すると、2〜3週間後にウイルスが急速に増殖する時期があり、この時期を感染初期や急性感染期と呼びます。

この時期には発熱、筋肉痛、全体倦怠感など風邪やインフルエンザに似た症状が現れますが、区別がつかないため症状から感染を判断するのは難しく、また感染した場合に必ず発症するとも限りません。

積極的な治療を行わなくても数週間ほどで自然におさまります。

無症候期

感染初期の症状が収束すると、5年から10年ほど、HIVの治療をせずとも無症状で経過します。しかし、その間体内でHIVが盛んに増殖を繰り返し、免疫機能の低下を進行させます。

こうした無症状の時期は、感染した方本人も治療の必要性を感じることがありません。

そのため、発見が遅くなり、HIVを知らず知らずのうちに他人に移してしまう危険性があります。

発病期(エイズ期)

無症候期は自覚することが難しいのですが、HIVは徐々に感染した方の免疫機能に障害を与え続けており、ある一定レベルまで免疫機能が障害されると、普段は感染することのない病原体に対して感染症状を起こす(日和見感染症)ようになります。

さらに、正常の免疫があれば発症することがない悪性腫瘍を発症することもあり、この時期をエイズ期と呼びます。

個人により症状の違いがあるのですが、帯状疱疹を発症した場合には皮膚に水ぶくれが生じヒリヒリとした痛みを伴うようになり、ニューモシスチス肺炎と呼ばれる肺炎を発症すると、咳や痰などを訴えるようになります。

症状が進行すると、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍を発症することもありますし、HIVそのものによるHIV脳症となることもあります。HIV脳症では意識の状態が変化し、認知症の症状が出たりします。慢性的に経過する時期であるため、下痢や全身衰弱、体重減少などもみられるようになります。

HIV感染症検査

人の血液中にHIVに対する抗体があるかどうかを調べることで、HIV感染を判断します。HIVには「HIV-1」「HIV-2」の二種類があります。

HIV検査の種類

抗体検査(HIV-1/2 抗体検出)

HIV抗体検査とは、血液中にHIVに対する抗体があるかどうかを調べる検査です。

HIVに感染すると、体内にHIVに対する抗体が作られます。
つまり、血液の中にHIVに対する抗体があれば、HIVに感染していると判定されます。

抗原抗体同時検査(HIV-1/2 抗体検出、HIV-1 抗原検出)

HIV抗原抗体同時検査は、血液中に、「HIV抗体」と「HIV-1p24抗原」があるかどうかを調べる検査です。

「HIV-1 p24抗原」とは、HIVウィルスを構成する「p24」というタンパク質で、「HIV抗体」よりも早く体内で生成されるので、抗体検査より早くHIV感染を確認することが出来ます。

抗原検査 (HIV-1 抗原検出)

「HIV-1 p24抗原」のみを検出できるHIV検査です。
「抗体検査」より早くHIV検査を行うことが可能ですが、「HIV-1」しか検査できません。

日本では「HIV-2」の可能性は非常に低いのではありますが、0ではありませんので、注意が必要です。

※現在日本ではあまり実施されていません。

NAT検査(核酸増幅検査)(HIV-1 遺伝子)

HIV抗体検査の場合、感染可能性がある日から90日(3ヶ月)を過ぎてからの検査になります(ウインドウ・ピリオドと言われ検査で感染が確認できない期間)が、NAT検査は、2~3週間経過していれば検査ができるHIV検査です。

遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を2倍、4倍と増やしていき、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査方法です。

核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)の頭文字を取って「NAT」検査といわれています。

HIV治療

HIV治療は、身体からHIVを体内から完全に排除することが出来るわけではありません。

薬を飲む続けることで、身体中のウィルスの量を抑え続け、免疫力を回復させ、その状態を維持していくことになります。

治療開始のタイミング

HIV治療のタイミングは医療技術の発達とともに見直されていきました。

以前は、抗HIV薬の副作用が強く、内服自体が困難なこともあったため、CD4陽性リンパ球(所謂白血球)数が200/μl程度まで下がってから治療を開始するという考え方があったのですが、最近では、より副作用の少ない治療薬が開発されており、さらに、早期治療による様々な利点(感染拡大の抑制や重篤な合併症の減少)も明らかになってきたため、すべてのHIV感染者に対して抗HIV薬の開始が推奨されるようになっています。

抗HIV薬

HIV感染症の治療は3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法が基本です。

最近では、2〜3種類の成分が1錠の中に含まれた合剤が多数でており、1日1回1錠内服での治療も可能となっています。

また、最近の抗HIV薬は以前のものと比べて治療効果が高いため、ウイルスが長期間しっかりと抑制されている場合であれば、2種類(1錠)での治療でも治療効果を維持できるとされています。

抗HIV薬は大きく5つに分類されます。

核酸系逆転写酵素阻害剤

非核酸系逆転写酵素阻害剤

プロテアーゼ阻害剤

インテグラーゼ阻害剤

侵入阻害薬

留意点

抗HIV薬は、開始すると一生飲み続けていくことになります。

抗HIV薬を中途半端に内服してしまうと、ウイルスが薬に対し耐性を獲得し、薬が効かなくなってしまうからです。

内服10回のうち1~2回飲み忘れてしまうだけで患者さん2人に1人は治療に失敗してしまうと言われています。

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